この記事で得られること
- 直帰の定義を厳密に理解できる
- 直帰率が良いのか悪いのかの判断基準を理解できる
- 直帰率改善の方法が理解できる
直帰の誤解
アクセス解析で「直帰」とは何を意味するでしょうか?
一般的な理解として、このように捉えている人が多いのではないでしょうか。
- 「自分のサイトに来た人が別ページを見ることなく直ぐに離脱してしまうこと」
- 「直帰率が高いことは悪いこと」
果たしてそうなのでしょうか。
直帰の定義
直帰数にカウントされる条件は下記の通りです。(Google Analysts)
一番初めに来たページから、別ページに移行しない状態で
- 30分以上何の操作もせずそのままにしておく
- 24時(AM0時)をまたぐ
- ブラウザで閉じるを押す
- ブラウザで戻るを押す
- ブラウザの検索窓から別ワードを検索し他に飛ぶ
- 外部リンクへ飛ぶ
色々な条件がありますね。
一つ一つの条件を確認していきます。
まず前提は「一番初めに来たページから、別ページに移行しない状態で」です。
これを枕詞に置いて見ていきましょう。
・30分以上何の操作もせずそのままにしておく
例えば、あなたがスマホで自分の好きなサイトを見始めた時、電話が来ました。ついつい長電話。40分後にサイトに戻り別ページへ移行しました。
この時、実際の行動としては直帰してないですよね。
これも直帰にカウントされます。
・24時(AM0時)をまたぐ
24時をまたぐとセッションが途切れます。
初めにいたページで24時をまたと、これまた直帰していないのに直帰数にカウントされます。
ここはGoogleアナリティクスヘルプ「アナリティクスでのウェブ セッションの算出方法」が参考になります。 ps://support.google.com/analytics/answer/2731565?hl=ja
・ブラウザで閉じるを押す
これは実際の行動とカウントが合っているので問題なし。
・ブラウザで戻るを押す
これも実際の行動とカウントが合っているので問題なし。
・ブラウザの検索窓から別ワードを検索し他に飛ぶ
これも基本的には実際の行動とカウントが合っているので問題なし。
・外部リンクへ飛ぶ
例えばトップページに外部リンクを貼っている場合。
アフィリエイトの場合意図して外部リンクに飛ばしているのに、それが直帰数としてカウントされます。
(これは設定で改善できますが)
以上でそれぞれの条件を確認できました。
中には、実際に直帰していないのに直帰数にカウントされる場合がありました。
一般的な理解である
「自分のサイトに来た人が別ページを見ることなく直ぐに離脱してしまうこと」
は決して間違いではありません。
しかし、実際のカウントの裏にはこのような条件があります。
決して「直帰」は実際のユーザーの行動を言葉通りに正確に表しているわけではないこと。
これを頭の片隅に置いておけば、柔軟な発想につながります。
直帰数とは
今まで説明した条件でカウントされた数を言います。
実際にはこの数字だけでサイトの良し悪しを判断することはできません。
全体のうちの直帰数の割合(=直帰率)を見ることが一般的です。
直帰率とは
全体の訪問数(=セッション数)の内、直帰した人が何%いるか。
従って、計算式は次のようになります。
直帰数÷セッション数
直帰率が高いことは、悪いこと?
あなたのサイトの直帰率は良いのか、悪いのか。
そもそもその直帰率は高いのか低いのか。
それは一概に言えることではありません。
3つの見方から判断する方法を解説します。
- 推移で判断
- 目的で判断
- 比較で判断
1.推移で判断
あるサイトの直帰率を時系列の数値の上下で判断する方法です。
例えば、サイトを制作した初月の直帰率が40%の場合。この40%だけでは良し悪しは判断できません。
次の月が50%だったとします。ここで言えることは、前月よりも直帰率が上がった、ということです。
もし、回遊を目的とするサイトだったら、この指標は「悪化」を意味します。
ここで重要なことは、40%が良い、50%が悪い、という単月での判断ではなく、「10%上昇した」という推移によって指標の価値判断をする点です。
2.目的で判断
そのサイトの目的によって直帰率の推移が良いのか悪いのかが変わってきます。
例えば次のような目的をもったサイトがあるとします。
- 複数のページで商品を紹介し、購入を目的としているサイト
- イベントや店舗の存在認知を目的としているサイト
「複数のページで商品を紹介し、購入を目的としているサイト」は、ユーザーが色々なページを見て最終的な購入を目的としているため、直帰は商品認知と購入には結びつきません。
ここでは、直帰率の上昇は「悪い」です。
「イベントや店舗の存在認知を目的としているサイト」は、トップページにその情報が網羅されているのなら、直帰率の推移はどうでもいいはずです。
直帰率より、ページビュー数やセッション時間といった指標でサイトが目的に沿って機能しているかを判断するべきです。
3.比較で判断
例えば、あなたが似たようなサービスのサイトを複数持っているとします。そのサイト同士を比較し、直帰率の良し悪しを判断します。
ただし、上の2つの判断基準に即しての価値判断になることに注意してください。
また、競合サイトの直帰率に対し、自分のサイトの直帰率を比べ、高いか低いかで良いか悪いかを判断する場合も、「比較」で判断する方法になります。
改善するためには
まずは目的を明確化し、一概に直帰率が何%だから良い、悪いとは言えないことを理解してください。
目的を設定し、それに合致していれば良い、合致していなければ悪いという判断を下すべきなのです。
一般例としてですが、直帰率の低下が改善指標になる場合、直帰率を減少させるため取られる具体策としては、以下のようなものがあります。
- 飛ばしたい目標ページへのリンクボタンの視認線を高める
- 飛ばしたい目標ページへのリンクボタンをファーストビューの位置に置く
- グローバルナビゲーションの項目を少なくする
- メインビジュアルに、各ページのリンクを貼る
しかし、これは具体策であり、その背後にあるもっと重要な考え方は次のとおりです。
- サイトを作る目的を明確化する
- そのサイトに訪れるまでのユーザーの行動を考える
- そのサイトに訪れてからサイト内でのユーザーの行動を考える
- そのサイトを離れてからのユーザーの行動を考える
・サイトを作る目的を明確化する
まずサイトの目的は何でしょうか。目的とは具体的に言えば、サイトを訪れた人にどのような行動をとって欲しいか、です。
・そのサイトに訪れるまでのユーザーの行動を考える
これが明確になれば、まずそのサイトに来るまでの経路をイメージします。
流入元には様々な経路があります。例えば、SNSから来る人、検索から来る人、インターネット広告からくる人、マス広告からくる人。
そこにどのような興味があり、その人がどのようなトピックスを求めて経路をたどり、あなたのサイトにくるか。
その求めるトピックスとあなたのサイトのコンテンツが合致せず、ユーザーの問題解決が図れないようであれば、それは良いサイトとは言えません。
・そのサイトに訪れてからサイト内でのユーザーの行動を考える
次は、サイトへ来た入に対してサイト内でどのように行動してほしいか。
アフィリエイト広告をクリックしてほしいのか、資料請求をしてほしいのか、商品を買ってほしいのか、イベント情報を知ってほしいのか。
その行動をイメージしたら、その通りになるようにデザインや構成や動線を考えます。
・そのサイトを離れてからのユーザーの行動を考える
そしてユーザーが離脱したあと、どういう行動をとってほしいのか、そのためにはサイト内でどういう情報を与えればよいのか、どういう伝え方をすれば良いのか。
それを考え、具体的に何をどうすればいいのかはPDCAで考えていくほか道はありません。
以上となります。
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