
相手を説得させる論理的な文章の書き方、話し方を知りたい。
そんな読者の方へ今回の記事のテーマはこれです。
【この記事を読めば】
論理的な文章を書けるようになる。
論理的に話せるようになる。
早速本題に入ります。
論理的な文章を作るための3つの要素
まず人が「論理的」に文章を書きたい、「論理的」に話をしたいと考えるときの目的は何でしょうか。
そこには、必ず誰かを「説得」や「納得」させることが目的になっているはずです。
なので、「相手に自分の主張を納得してもらうためにはどうしたらいいか」という具体的な問題に置き換え、解説していきます。
主張を納得してもらうためには、次の3つの要素が必要になってきます。
- データ(主張する内容を裏付ける客観的な事実)
- ワラント(客観的なデータが、主張を導き出す理由または説明)
- クレーム(主張)
カタカナで聞き慣れない言葉ですが、これは現代のディベートの基本になっている、スティーブン・トゥールミンのトゥールミンロジックという論理の概念になります。
この論理は、三段論法という言葉を一度は聞いたことがあるかと思いますが、その三段論法が実際の生活では役に立たないため、新しく考えられた手法になります。
「トゥールミンロジック」を検索すれば詳細を確認できますが、正確に説明するといささか専門的な内容になってしまうため、今回はこれを日常会話や仕事上の打ち合わせで使える、一般的なレベルに噛み砕いて説明します。
「データ」とは
主張する内容を裏付ける客観的な事実のことを指します。
簡単な例として、「明日学校を休む」という主張を通すために、必要な「データ」として以下を上げてみます。
- 台風が来ている という事実
- 熱が39度ある という事実
- 学校に行かなくても年収1億稼いでいる人がいる という事実
このような事実をあげたあとに、そのまま「明日学校を休む」という主張をするとこうなります。
- 熱が39度あるから、明日学校を休む
- 台風が来ているから、明日学校を休む
- 学校に行かなくても年収1億稼いでいる人がいるから、明日学校を休む
大半の人はここで、論理の組み立てを終わらせてしまいます。
しかし、次に「ワラント」を追加することが重要になってきます。
初めはピンとこないかもしれませんが、すぐに慣れますので見ていきます。
「ワラント」とは
客観的な「データ」が、主張を導き出す理由または説明を指します。
先程の「データ」に、それぞれ「ワラント」を追加してみます。
- (データ)台風が来ている →(ワラント)気象庁が予想するこの台風の風速は、通学に使う電車の運行基準を遥かに超えることが予想される。したがって明日の朝は電車が止まることがほぼ確定。
- (データ)熱が39度ある →(ワラント)ということは、インフルエンザの可能性大。学校の規則ではインフルエンザになると3日間登校が禁止されている。今日は学校に行くことよりも医者にかかり症状を特定してもらうことが優先だ。
- (データ)学校に行かなくても年収1億稼いでいる人がいる →(ワラント)学校の目的が将来勤労所得向上に必要な能力を得ることであれば、他の手段でもそれは実現可能。また、年収1億円以上稼いでいる人の学歴を調べたところ、学歴とは無関係であることがわかった。ならば、学校という手段を捨て〇〇の手段をとったほうが、将来勤労所得向上の目的を達成できる可能性は高い。
「クレーム」とは
最終的な主張のことをいます。
上記にそれぞれ「クレーム」を追加してみましょう。
- (データ)台風が来ている →(ワラント)気象庁が予想するこの台風の風速は、通学に使う電車の運行基準を遥かに超えることが予想される。したがって明日の朝は電車が止まることがほぼ確定 →(クレーム)だから、明日学校を休む
- (データ)熱が39度ある →(ワラント)ということは、インフルエンザの可能性大。学校の規則ではインフルエンザになると3日間登校が禁止されている。今日は学校に行くことよりも医者にかかり症状を特定してもらうことが優先だ →(クレーム)だから、明日学校を休む
- (データ)学校に行かなくても年収1億稼いでいる人がいる →(ワラント)学校の目的が将来勤労所得向上に必要な能力を得ることであれば、他の手段でもそれは実現可能。また、年収1億円以上稼いでいる人の学歴を調べたところ、学歴とは無関係であることがわかった。ならば、学校という手段を捨て〇〇の手段をとったほうが、将来勤労所得向上の目的を達成できる可能性は高い →(クレーム)だから、明日学校を休む
今まで見てきた3つの例のうち、1つを取って、「ワラント」がある場合とない場合の説得力の違いを見てみましょう。
- (データ)台風が来ている →(クレーム)だから、明日学校を休む
- (データ)台風が来ている →(ワラント)気象庁が予想するこの台風の風速は、通学に使う電車の運行基準を遥かに超えることが予想される。したがって明日の朝は電車が止まることがほぼ確定 →(クレーム)だから、明日学校を休む
後者のほうが、説得力が増しているのは明らかです。
「ワラント」が肝心
論理的な文章の構成のための3つの要素のうち、一番肝心で、しっかりと考えなければならないのは「ワラント」の部分です。
「ワラント」の部分にも客観的な実証データや測定結果を示すと説得力が更に増します。
「データ」が「クレーム」につながるのは、これこれこういう実証で証明されています。という言い方をすれば、かなり強固な「ワラント」を作り出せます。
ここで内容としては客観的なデータですが、論理的な位置で「ワラント」になる点にご注意ください。
例えば、次の2つの文を見てみましょう。
- (データ)台風が来ている →(クレーム)明日学校を休む
- (データ)台風が来ている →(クレーム)明日学校へ行く
主張の「クレーム」が正反対の文章になりました。
しかし、「ワラント」を変えることでどちらも論理的な繋がりを出すことが出来るのです。
- (データ)台風が来ている →(ワラント)気象庁が予想するこの台風の風速は、通学に使う電車の運行基準を遥かに超えることが予想される。したがって明日の朝は電車が止まることがほぼ確定 →(クレーム)だから、明日学校を休む
- (データ)台風が来ている →(ワラント)気象庁が予想するこの台風の風速は、通学に使う電車の運行基準を遥かに下回ることが予想される。したがって明日の朝は電車は問題なく運行するはずだ →(クレーム)明日学校へ行く
論理的な文章の構成
このようにわかりやすく短文で説明しましたが、長い文章になっても考え方は同じです。
1つの「クレーム」を述べるためには、まず「データ」を用意し、次に「ワラント」でなぜデータからクレームが導き出されるのかを、説明します。

このような文章の構成を考えれば、説得力は今までの何倍にも増します。
最後に次のことが学べたことを確認して、以上となります。
論理的な文章を書けるようになる。
論理的に話せるようになる。
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